先日、ご機嫌でサイクリングしていたわたしは、突然、婦人警官と「防犯」の腕章をつけた普通の服を着た中年女性と男性に、無理やり自転車を停められ、話を聞かされた。
努力義務になるのでヘルメットをかぶってくださいと。 面倒なので無表情に頷いて「早く話を終わらせよう」と協力していたら、腕章の男性が、わたしに断りもなくカメラを構え、「婦人警官の話を聞く市民」の図を撮ろうとした。 おいおいおい!!手のひらをカメラを構えた男性に向けた。 「ちょっとちょっと!勝手に写真なんかやめてください!」と、いきなり怖い顔でいったわたしに、「ムッ」とした表情で一瞬手を止めたけど完全に諦めていない感じ。 こうなると、わたしも婦人警官の話なんか聞いてられない。 腕章男性をにらみ続けたら、腕章の女性が割って入り、彼女より年下らしき男性に「写真は良いから」と言って、やっと男性はカメラを下げた。 なんなんだ!! 撮影料請求するぞと思いつつ、ヘルメット諸々注意喚起のパンフレットやら、キーホルダーやら、マスクやら消毒液やら、一切必要としていないガラクタを、勝手に自転車のバスケットに入れられたのだった。 努力義務ねぇ…。誰のための、何のための、何なのこれ? どうして、日本人というのは、こうやって指示されないと何もできないのか? 本質的に、(温室効果ガスうんちゃらかんちゃらで)車を減らしたいなら、もっとたくさんの人に自転車に安全に乗ってもらいたいなら、多様なライフスタイルに合わせた自転車の乗り方や、多様なニーズに応えられるような、対策じゃなくて提案をどんどん吸い上げて、さっさと具現化すれば良いのに、日本の行政が考えることは規制ばかりで、これではより「乗りにくくなる」だけ。 そこへヘルメットの努力義務。 これは例の感染対策と同じで、車を運転する側からきた苦情に、行政が「やってます」感を出すためにやってることと、本質的に同じにしか見えない。 今度は反対側から苦情かきて、「ゆりもどし」が起きそうですよ。 ヘルメットを被る人はすでに被ってるし、自分で危険だと判断するなら被れば良いだけのこと。 イギリスでもずっと自転車に乗っていたわたしの経験と意見を書く。 イギリスは日本よりも、自転車に乗ることについて遥かにシビアだ。 まず、基本車道を走るし走る車道は車と同じ向き。(これ大事) 日本だと、車道を走るママチャリのママ・パパ・ジジ・ババは逆走も平気なので怖い。 車を運転する人からすると、これはもっと怖いだろう。 話を戻してイギリスで、自転車で左折はまだ簡単だけど、右折が難しかった。 慣れない間は原チャスタイルで、まず向かいへ渡り、そこから直角に右折していたし、慣れてからも大きい交差点や、交通量、わたしの体力に合わせて原チャスタイルを続けてた。 でも、大抵のサイクリストたちは、右手でIndicationしながら中央へ車線変更し、車と一緒に右折していく。 だからわたしもできる時はそうしてた。 車の後ろや側で一緒に曲がる方が、ある意味安全だったからだ。 しかし、それもこれも車道を走る車両が、自転車と車道を共有することに慣れていたから可能だったこと。 東京で車道を走っていると、全然混み合っていなくて、車の流れに迷惑にならないぐらいスペースがあっても、クラクションを鳴らされることがある。 しかも全部、それはタクシーだ。 きっと、「おいおい、あぶねーぞ」みたいな煽りと、警告のつもりだろうが、あれは非常に危ない。 わたしが、Lycraの上下着て、ロードバイクとか、軽いバイクでスピード出して走ってるなら話は別。 車道のすみっこの、自転車のマークが塗られたエリアを「えっちらお〜」と走ってるわたしなんて、下手に鳴らされるとびっくりして、手元が狂い、結果車に接触して事故に発展しかねない。 イギリスは、前に自転車がいたら、たとえスピードが落ちても、それがその先10分も、20分も続くわけじゃないから、皆スローダウンする。 お互い様だからだ。 これもダイバーシティってやつなんだけど、日本でよく言われる「多様性」は利権がらみの都合だけで、本質的に全くわかっていないし、理解する気がないんだろうなぁ…としみじみ残念だ。 そんなイギリス。 わたしがロンドンで本格的に自転車で通勤しようと思った時に住んでいたイーリングという街は、行政が住民向けに、無料で自転車レッスンとメンテナンスを提供していた。 www.ealing.gov.uk/info/201176/cycling/3025/cycle_training_and_dr_bike_cycle_maintenance 自転車レッスンも、全く乗れない人対象のものから、乗れるけど、交通にどう乗ったら良いかを教えてほしかったわたしのような人向けもあった。 しかも、わたしのようなニーズで大人の場合はマンツーマンでやってくれる。 わたしのインストラクターはデンマーク出身の男性だった。 デンマークといえばオランダと並んで、自転車フレンドリーな国としてよく知られている。 2018年ごろの統計データによると、首都コペンハーゲンで登録されている一般車両は120,000台なのに、自転車人口は675,000台だというから驚き。 アップデートが2020年で止まってるけど、Copenhagen Cycle Chicは、昔からある街のサイクリストを紹介したブログを見たら、いろいろな形の自転車ライフを見ることができる。 www.copenhagencyclechic.com/ そんな自転車フレンドリーなコペンハーゲン出身のインストラクターから、 「デンマークではヘルメットは推奨されてないし、誰も被らない。なぜなら、ヘルメットを被る方がスピードが出るし、事故をした時により深刻になるからだ」と聞いて、わたしは目から鱗が落ちる思いだった。 北欧の都市では、自転車ごと列車に乗れ、首都などの大都市で働く人たちも、郊外の街からインターシティ(都市間を繋ぐ鉄道)に自転車ごと乗って通勤している人たちもいる。 オランダも、行ったことがある人なら知ってるが、ヘルメットをして自転車に乗ってる人はほぼいない。 いるとすれば、ツールドフランス系の、車道を車なんかと変わらないスピードで乗ってるガチのサイクリストぐらい。 そんな欧米、イギリスでも、ヘルメットを被ってるのは小さい子どもたち。 まだ乗りたてほやほやのちびっこたちほどヘルメットをしている。 これは理にかなってる。 さて、日本は昔から歩道をママチャリと歩行者が行き交う。 歩行者は多様で、杖をついた人からちびっこ、早足の人から、手元のスマホに見入った人までいる。 そんな中、自転車の乗り方も多様になってきていることは確か。 ここで目的は何かを明確にする必要がある。 「サイクリストにも、歩行者にも、ドライバーにとって、もっと快適かつ安全な交通のあり方」についてもっと真面目に向き合ってはどうかと思う。 でもね、税金とか公費を使ってコペンハーゲンとか、アムステルダムとか、ロンドンとかに視察とか行かなくて良いからね。 まずは、自分たちが自転車に乗る生活をしてみてはどうかと思うよ。
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Ray of Sunshine
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